アグニの石

アグニの石

『アグニの石』は1988年にPC-88用として、
ハミングバードソフトから発売されました。

ライブアドベンチャーゲームと題され、時間の概念を取り入れた、
意欲的な作品でしたね。

agni01.png

<概要>


ジャンルはコマンド選択式ADVになります。
そこに時間の概念が加わってきます。

舞台となるのは、アメリカ南部の田舎町。
主人公と相棒のピピンはベテランの泥棒であり、
「AGNI」という珍しい真紅のエメラルドを手に入れるため、
主人公が宝石にある屋敷にお抱えの運転手として潜入することになります。
ゲームには7日間という時間制限があり、
期間内に宝石を盗み出すことが目的となります。

<ゲームデザイン>


大きな館に潜入し、何かを探し出すという作品は、
昔のADVの一つの定番だったように記憶しています。
まぁ最初期の大ヒット作である『ミステリーハウス』の影響を受け、
そういう作品が増えたということなのでしょうね。

本作も、グループSNEの下村家惠子氏が脚本を担当し、
その点で他の類似作との違いも示せてはいるものの、
大雑把な設定自体は特筆すべき作品ではないのでしょう。

もっとも本作には、他とは明確に異なる要素がありました。
それが、端的に言えば時間の概念となるのですが、
ゲームにおける時間の概念という表現は結構曖昧だったりします。
時間の概念を用いたゲームは既にあったのですが、
リアルタイムで進行するだけだったり、
行動すると時間が消費されるというものでした。
もう少し噛み砕いて説明しますと、
時間が進行することでプレイヤーは時間に縛られるわけですが、
ゲーム内のNPCは時間に制限されていなかったのです。
この場合の時間のゲーム内で有する機能としては、
もっぱらプレイヤーの行動回数に制限を加えるためのものと言えるでしょう。

一方で本作の場合も、
行動によって屋敷内の時間が進行する点は似ています。
しかし、縛られるのはプレイヤーだけではなく、
そこに住む住人も時間に応じて行動する点が大きく異なるのです。
主人は何時に家を出て何時に帰宅するから、
運転手のお前は何時までにどこそこへ行けって感じですね。
キャラは各自の生活サイクルを有しており、日常を過ごすのです。
これによって、そこにもう1つ世界があるような、
リアルな生活感を感じることが出来ました。

そしてゲーム世界にリアリティを増しただけでなく、
いつ誰がどこで何をしているかを把握していなければならないため、
時間管理の要素という新たなADVの方向性も見えてきました。

これは画期的でしたね。
ADVにおいて新たな面白さを発掘した点は、
とても素晴らしいことだと思います。

尚、ADVにおける時間の概念の導入に関して、
『同級生』が時間の概念を取り入れたと表現するのを、
何度か見かけています。
しかし、上記のようにNPCも生活サイクルを有する時間の概念は、
本作の時点で既に取り入れられているわけですね。
『同級生』は様々な観点から総合的には大傑作と言えますが、
この点は誤解しない方が良いと思います。

それと、こっちは従的で大した意味はないのですが、
画面を見て分かるように体力等のパラメーターがあります。
こういうのは昔のADVではたまに見かけたんですよね。
最近は数字が出てくるとすぐにSLGに分類しちゃう人もいますが、
この数字はあくまでも行動限界の目安となるもの。
SLGのように数値変動を楽しむというのとは違います。
ADVにも好感度の積み重ねのように数字で表現できる要素があって、
それを隠すか表に出すかの違いでしかない、
ただそれだけのことだと思います。
まぁ、これは特に評価には影響しませんが、
昔のADVらしい特徴に感じたので補足程度に。

<感想・総合>


時間の概念の導入により、NPCに生命の息吹を与えた本作。
もちろんサウンドが良いなど他にも特徴はありますが、
そのシステム面での独自性と特徴は明確であり、
この1点だけでも名作と言えるでしょう。

もっとも、タイムスケジュールの把握というのは、
人によっては面倒くさくもありますからね。
『同級生』とかでも分かるようにはまる人ははまるでしょうが、
性に合わない人は合わないシステムかもしれません。

一見すると地味な作品ではありますが、
この時期のストーリーやグラフィック偏重の流れの中にあっては、
こうしたゲーム部分にメスを入れる作品は本当に貴重でしたね。

ランク:A-(名作)

アグニの石

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このゲーム、リアルでやったのですが...
詳しく覚えていませんでした...
他の記事もふくめて、いつも読んでて詳しい内容のおかげで
思い出したり懐かしんだりと、尊敬しちゃいます。
このゲーム時間の概念があるんでしたね。
アグニの石は行動回数ですが、確かリバイバーも時間の概念が
あったような...
行動に制限ができると進む順序とかスリリングになりますが
一気にややこしくなって苦手と思う方も多かったでしょうね。

地味な作品ではありましたからね、
良さが分かるのに時間がかかるタイプの作品かもしれませんね。
ファミコンの『殺意の階層』なんかも、
今でこそ褒めてる人を結構見かけますが、
当時はボロクソに叩かれたりしていましたし。

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