タイタニック アドベンチャー・アウト・オブ・タイム

タイタニック アドベンチャー・アウト・オブ・タイム

『タイタニック アドベンチャー・アウト・オブ・タイム』は、
1997年にWIN用として、
バンダイ・デジタル・エンタテインメントから発売されました。

オリジナルは同年に英語版として発売されており、
本作はその日本語版となります。

titanic01.jpg

<概要>


少し前に映画の「アバター」に注目が集まっていましたが、
「アバター」の監督と言えば、
やっぱり映画「タイタニック」の存在も忘れることが出来ないのでしょう。

その映画版タイタニックが参考にした(とパッケージに書いてある)のが、
このゲーム版『タイタニック』でした。

本作の大雑把な内容は、主人公であるプレイヤーはイギリスの情報部員で、
世界を救うために他国の陰謀を暴きつつ、
自らもタイタニックを無事脱出できるのかというものになります。

<ゲームデザイン>


基本的にゲームは実写+CGの1人称視点で進行する、
ポイント&クリック式のADVになります。

ただ、一定の行動で時間が進行するリアルタイムっぽい要素もあり、
平たく言えば『同級生』っぽいゲームを、
実写+CGの3Dで製作したものと言うこともできるでしょう。

もっとも、『同級生』は時間管理が主であり、
ポイント&クリックの方は従的な関係にありました。
他方で本作はP&Cが主であり、
時間の概念は従的に付けられている感じなので、
表記上は同じようなシステムでも、
プレイ感覚はあまり似ていないですけどね。
むしろ似ているのは、『ラストエクスプレス』あたりと言えるでしょうか。
まぁ、ブランドの過去作を知っている人ならば、
『DUST』路線を発展させたインタラクティブムービーであると、
そう認識するのが正しいように思います。

時間の概念があるということで通常のP&C系より歯応えがあるのですが、
それだけでなく本作は謎解きに複数解が存在しました。
ADVの肝とも言える謎解きは、多くの場合解法が1つしかありません。
だから誰がやっても同じ展開になり、
それ故にゲーム性が低いと言われる場合もあります。
それが本作は1つの問題に対しても複数のアプローチがありえますので、
何通りも試すことが出来ました。

また、答えに至る過程が複数あるだけでなく、
当然ながら失敗も存在します。
そのため、常に緊張感を持ったまま思考を張り巡らしたものです。
ここら辺は推理ADVの多くに求められつつも、
なかなか上手く実現出来ない部分でもあります。
それを踏まえれば、本作は非常に秀逸なデザインとも言えるでしょう。

<グラフィック>


かように、ゲームとしても非常に凝っているのですが、
何と言っても題材がタイタニックですからね。
おそらく購入する人の多くは、
何かしらタイタニックに興味がある人かと思われます。
まぁ、凄いコアなADVファンの中には、
ビル・アップルトンの新作だから買うという人もいたでしょうが、
そんな人はレアケースだと思いますし。
そうなると当然、タイタニックのような豪華客船の内部を、
自由に散策したいって人もいることかと思います。
本作はそういう人用に、単純に散策できるモードも用意してあります。

CGで出来た艦内は見ているだけでも惚れ惚れしますが、
実に入念に調査&再現がなされているんですよね。
映画版が参考にしたというのはこの基礎資料の部分みたいで、
それだけリアリティにこだわった作品なのでしょう。
私は昔からタイタニックネタは好きだったものの、
だからと言ってあまりディープなファンでもなかったので、
再現度はどのくらいとは言い切れませんけどね。
でも、まわりの反応を見た限りでは、
おそらくタイタニック号ファンの多くを満足させてくれる出来だと思います。
ユーザーのニーズに応えようとする姿勢も好印象ですよね。

タイタニックファンなら間違いなく楽しめるし、
そうでないADVファン的にも見所の多い、
本作はそんないろんな要素の詰め込まれた作品だったかと思うのです。

<感想>


さて、本作が昔から続く、
単なるタイタニック人気にあやかっただけの作品でないことは、
十分にお分かりになるかと思います。
1本のADVとしても非常に凝った作りで、
様々な要素が含まれていましたからね。
ADVのゲーム性云々に興味がある人にも参考となりえる作品でしょう。

しかし、だからと言って必ずしも問題がないわけでもありません。
だだっ広い艦内をヒントもなしに移動する大変さは、
『黄金の羅針盤』なんかをプレイした人には分かってもらえるでしょう。
ましてや本作は、それに時間の概念もあるのですから、
余計にも大変になるのです。
そのくせイベントはそれ程多いわけでもないですからね、
『同級生』と『卒業写真2』の差ほどではないですが、
やっぱり途中でだれてきます。

ADVのシステムを良く知っており、
それでいろいろ入れて作ってはみたけど、
そのわりには思ったほどには面白く感じられない。
もし私がゲームを作って、それが失敗の評価を受けたとしたら、
たぶんこんな感じなんだろうな~と思いながらプレイしたものです。
システムを知っていること使うことと、使いこなすことは別ですからね、
ここら辺は国内のADVでは、
全盛期の堀井さんや蛭田さんや剣乃さんが上手かった部分なんですけどね。
もう一つここに何かがあればってところに、
必ずこっそりと何かを仕込んでくれている。
センスのあるクリエイターはその辺が上手いものですが、
本作はそれが足りなかったんでしょうね。
だから単純に面白いかって聞かれると、ちょっと悩んじゃうのです。

<総合>


昔、「ガリバー旅行記」には民法上の論点が多数含まれていて、
だからこそ大人が読むべき本だと聞かされましたが、
本作にもADVの様々な要素や可能性、そして問題点が含まれています。
上記のように練りこみが物足りない作品ですので、
単純な面白さを求める人にはたぶん本作は楽しくないでしょう。
でも、真のADVファンならば、
この作品からいろんなものを汲み取ることが出来るのではないでしょうか。
それは良い意味も悪い意味もひっくるめてです。
なるほど、こんな方法があるのかと感心し発見することもあるでしょう。
逆に、ここはもう少しこう出来ただろうに・・・って、
俺ならこうしたよってな部分もあるでしょう。
いずれにしても、探せば探すほど何かしら得るものが出てくる作品なのです。

もちろん、本作はディープなADVファンのためだけの作品ではありません。
小難しいことは抜きにして、
第1にはタイタニック好きがタイタニックを堪能するための作品なのです。
私はそれ程タイタニック好きではないので、
判断は1つのADVしての観点が中心になります。
そして様々に考えさせてくれる点は多いものの、
随所で練りこみが足りないということで、結論としては良作と判断しました。
これには単品としての絶対的評価だけではなく、
96年~97年のADVの大豊作という相対的事情も大きく影響しています。
このころはMYST系ADV等が飛躍的に発達していった時期ですので、
それらの名作と比較してどうなのかという視点が外せないですからね。
むしろ、この相対的観点が今回は大きかったかもしれません。
そういうわけですので、
ADV好きとしても普通に楽しめる作品だと思いますが、
タイタニック好きなら名作と判断しても何ら不思議ではないかと思いますね。

最後になりますが、この作品を作ったのはCYBERFLIX社です。
インタラクティブムービーを普及させたリアクター社から独立した、
ビル・アップルトンの制作になります。
前年には『DUST』を制作していますが、
さすがにADVを熟知した人の制作だけあり、様々な要素がつまっています。
個々の要素に対し否定的なことも書きましたが、
それはあくまで私個人の評価。
評価は当然人により変わります。
しかし様々な要素が詰まっていることは客観的事実であり、
これは万人に共通で人により変化するものではありません。
賛否はともかく、これだけの要素を盛り込んで、
ADVの今後について考える機会を与えてもらっただけでも、
今となっては貴重なことだったのかもしれませんね。

ランク:B(良作)

タイタニック 日本語版

タイタニック

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