ファイナルファンタジー13

ファイナルファンタジー13

『ファイナルファンタジー13』は2009年にPS3用として、
スクウェア・エニックスから発売されました。

PS3のキラータイトルとして期待された作品ですが、
今回もまた賛否分かれそうな癖の内容でしたね。

ファイナルファンタジーXIII

例えばSLGには、細かく見るといろんなジャンルがあります。
戦略物・箱庭物・育成物・経営物等、皆異なる魅力を有していますが、
1作品の中に必ずしもこれら全ての要素が含まれているわけではありません。
含まれている要素が優れてさえいればそれで名作と言われるのであり、
例えば戦略物のウォーSLGの名作に経営要素が弱いとケチを付けることは、
ハッキリ言ってナンセンスだと思います。
また、仮に全ての要素が詰め込まれていても、
そのどれもが中途半端であれば評価に値しないし、
実際にそんな中途半端な出来になってる場合も多いです。

これはADVにもあてはまるわけで、
文章を読むだけのノベルと謎解きだらけのMYST系ADVは対極に位置します。
「ADVの良さ=テキストで書かれたストーリーの良さ」と考えている人には、
MYST系ADVの良さは分からないでしょう。
逆に、「ADVの良さ=謎解きの楽しさ」と考えている人には、
ノベル物の良さは分からないでしょう。
この場合もないものをねだるのはナンセンスであり、
ゲーム内にある要素が優れていれば名作と言えるのだと思います。
そして如何にその要素が優れていようとも、
それが自分に適していない要素であれば楽しめるわけはないのですから、
それなら買わなければ良いだけです。

さて前置きが長くなりましたが、FF13の大まかな構造は単純です。
イベント→戦闘→イベント→戦闘・・・って感じで、その繰り返しになります。
全13章の内、11章になれば広大なフィールドも登場しますが、
そこまではほとんど1本道で自由度は少ないです。

海外のRPGでは昔から、国内でも近年になって注目度が高まっている自由度ですが、
それを求める人は本作には向いていないでしょう。
いわば戦略SLG好きが経営SLGを買ってしまうようなもので、
肌に合わないのが目に見えています。
そういう人は、素直に『オブリビオン』でもやってた方が良いです。

ところで、自由度といっても意味は幾つかあるのでしょうが、
多彩なクエストをこなすというプレイヤーの選択の幅の面では、
もっぱらPCの海外系RPGの独壇場と言えるでしょう。
PC-98時代は一部の国産のPCゲーも頑張っていましたが、
いずれにしてもそれを求めるならPCでRPGを探した方が良いです。
この分野に関してだけは、今も昔もPCのRPGの方が優れていますからね。

どうせ入れてもPCゲーには勝てず中途半端になるだけであるならば、
だったらいっそのこと排除しちゃえと思ったかどうかは知りませんが、
FF13もこの要素は力を入れていません。
まぁ、これはFF10-2とかを除けば大概のFFに当てはまることなので、
従来からの方針を踏襲したと言った方が良いかもしれませんけどね。
今回はその方向性を顕著に示してきたというだけであって。

また1本道ということで、基本的にダンジョン等フィールドは細く単純です。
ただ、ダンジョンとかで上手いトラップを仕込んでくるRPGもありますが、
基本的にFFは昔からそこら辺はあまり上手くないです。
FF7以降になってマップが単純になったかと思った時期もありましたが、
SFC時代のをやり直してみるとSFCのも実は大して練られていないんですよね。
当時の記憶を美化したのでなければ、
昔も今もFFはダンジョンの作り方は下手ではないにしても、
それで名作と呼べるほどには上手くはないです。

つまりはここも従来からFFの長所とは言えなかった点であり、
さっきと同様に長所になりえないなら大幅にカットする方法もありでしょう。
ましてや、CGや3D化で行き先が見辛くなったとも言われるくらいですからね、
なまじ手を込んで作ってもプレイヤーを混乱させるだけです。
加えて、本作は後述するように戦闘の難易度が上がっており、
戦闘に集中させる意味でもこの単純なフィールドはありなのだと思います。
もし仮にフィールドを凝ったものにしていたら、
クリア出来ない人が続出していたのではないでしょうか。

この単純化とも関連しますが、今回はほとんど街が出てきません。
ダンジョンと同じ感覚でイベント上通る街は存在しますが、
従来のRPGでいう買い物やセーブの起点としての街は存在しないのです。
そういうのは全て今回はセーブポイントが引き受けています。
これにより、全ての雑務が1箇所で行えるようになりました。
ある意味80年代的な感じに戻ったとも言えるでしょうね。

これまた街を見るのが好きだった人には残念かもしれませんが、
ゲームが進化するにつれ街の規模もどんどん拡大していきましたし、
3D化してからの街は正直ウザかったですからね。
FF12なんかは準備を整えるために、
いちいちだだっ広い街を行ったり来たりしてましたから。
やるべきことは頭の中で分かっているのに、
目的の店にたどり着くまでに何度も同じ過程を経なければならず、
あれは時間稼ぎの無駄な時間でしかなかったです。
街の中でうろつくことがRPGの醍醐味と考える人は、おそらく少ないでしょう。
確かに街の中ではNPCとのやり取りを楽しむという要素もありますが、
それならば『ザ・シムズ』とかでもやれば良いのです。
そっちの方が数段面白いですから。
だったら、無駄に労力だけ費やして得るものが少ない長所足りえない要素は、
思い切って省略して構わないと思うのです。
無駄な労力をカットしてくれた点は、私は良かったかと思います。

このように、今回は長所となりえない部分は大幅にカットしてきました。
中途半端でも良いからお子様ランチのように何でも揃えていて欲しい、
そういうタイプの人には本作は向いていないでしょう。
本作は、料理で言えば一品料理のようなものですからね。
でも、FFって昔からそういう傾向にありましたからね、
今回はその傾向が強めに出ただけって感じで。
だからこそ昔からFFが肌に合わない人もいましたし、
逆に強調された要素に魅力を感じた人は強烈に惹かれたわけです。
ゲームはないのもねだりするものではなく、
プレイしているそこにあるものが楽しいか否かです。
中途半端な要素に時間を削がれるくらいならいっその事なくしてしまい、
勝負したいところだけにしてもらうのは、
私はむしろ良いことだと思うんですよね。
だから、私は根本的にFFが好きなのです。

ということで残ったのは、イベントと戦闘部分ですね。
これは基本に戻ってRPGの根幹に絞ったとも言えるでしょうし、
見方によってはいわゆるS・RPGと似た構造とも言えますよね。
『ファイアーエムブレム』や『タクティクスオウガ』に対して、
ダンジョン探索の要素がないから駄目だなんて言う人はいないでしょう。
ストーリー面や戦闘面というゲーム内にある要素が優れているから、
これらの作品は高く評価されているわけです。
本作も力を入れた部分が優れていたならば十分名作だと思うのです。

では実際にどうだったのか。
まず戦闘ですが、パーティは3人いるもののプレイヤーが直接に扱うのは1人です。
残りは役割に応じて自動的に行動するのですが、
この役割は3人分を1セットとして事前にセットすることが出来
(これをオプティマと言います)、
複数のオプティマを戦闘中に随時変更することが出来ます。
チャンスと思ったら全員で攻撃したり、
場合によっては攻撃・補助・回復に分けたりって感じですね。
このオプティマチェンジが今回の戦闘の鍵を握っていて、
これを上手く扱えるかで難易度も大幅に変わってきます。

序盤は大したことはないのですが、
終盤になると頻繁にオプティマをチェンジする必要が出てきます。
プレイヤーは1人しか操作しないとはいえ、
やるべきこと考えるべきことは多くかなり忙しいです。
気を抜いたら雑魚戦でも簡単に全滅しますからね、
プレイヤーの戦術要素は結構重要になってくるかと思います。
加えて、FF12みたいに地味でなく従来のFFのように派手な戦闘でいて、
それでもスピーディーさも保っていますしね。
それでいて決して安易にアクションゲームっぽくしたわけではないので、
これは非常に良く出来ていたと言えるのではないでしょうか。
個人的には安易にアクション要素を入れず、
あくまでRPGとして勝負した点は非常に好印象です。

アクティブタイムバトル(ATB)はFF4で初めて導入されたわけですが、
正直当初は劣化版アクションRPG程度の印象しかなく、
個人的にはあまり有用性を感じていませんでした。
アクションRPGとは異なる方向で爽快感を感じさせてくれたことや、
ATBを存分に活かしきったという意味では、
今回は非常にシステムが洗練されていたかと思います。

ただ、確かにATB方面では非常に満足のいく出来でしたが、
多方面でも完璧かと言うと決してそうでもないわけでして。
例えばAIによる主人公以外のキャラの動きは、
基本的にはよく出来ているかと思います。
しかし稀に思ったように動かなくて、
ゴキブリを1匹見たら~の例えではないですが、
1度でも疑念を持ってしまうと不満に思えてくるんですよね。
FF12のガンビットの様にもっと自由に設定できるのだったら、
上手くいかなきゃ自分が悪いんだろうと納得も出来るでしょう。
ガンビット程でなくてももう少し自由に設定できれば良かったかと思います。
この部分では、従来のシステムを洗練させたとは言えないでしょうね。

また、育成面ではほとんどFF10の踏襲であり、
キャラごとに個性を持たせようと言う点では若干改良されているかもですが、
新鮮味という点では物足りなかったかと思います。

それと、今回は敵が強いのもありますが、それに加えて固いです。
これは意見は分かれるでしょうね。
今回は昔のRPGよりよっぽど戦闘は難しいので、
最近のゲームはヌルイなんて言ってる人には良いのでしょうが
ヌルゲーでも良いじゃんって人にはちょっと辛かったのではないでしょうか。
因みに私は強いのは構わないのですが、
固いだけの敵は時間稼ぎに思えて少しイラっとしてしまいましたね。

まぁ、総じて探索要素や育成要素に重点を置いている人には、
今回は少し物足りないかと思いますが、
ゲームのプレイ時間の大半を占める戦闘部分は、
非常に良く出来ていたと思います。
戦術面の歯応えとACTに頼らないスピーディーさと見た目の派手さとが、
実に上手く融合していましたからね。
しかもそれがオプティマチェンジという簡単な動作で成り立つのですから、
もうこれだけで十分に名作と言って良いかと思います。

次に、もう一つのメイン部分のイベント面ですね。
イベント部分もグラフィックとシナリオの両方から成り立っているわけですが、
グラフィックに関しては予想通り良かったです。
次世代機が出た後に旧世代機で出された前作とは異なり、
今回はPS3で発売時点での最高クラスのものを堪能できました。
本作はムービーシーンがこれまでより長めですからね、
私のようなムービー大好き人間であればかなり楽しめるかと思います。

そういう観点からは十分に長所と言えるのだと思いますが、
他ジャンルや海外系のゲームでは、
優れたグラフィックのゲームが既に幾つかありますからね。
相対的にはFF8やFF10の頃のようなインパクトや、
他のゲームと比較しての突出感は少なかったと言えるでしょうね。

問題は残ったシナリオ部分です。
最初からよく分からん謎な単語を連発し、キャラたちはうじうじと考え込む。
あれです、ギャルゲーでよく出てくる構造です。
ものは考えようですが、
いろいろ悩むキャラたちは心理描写が優れているとも言えるでしょう。
壮大そうだけど説明不足な単語や設定は、
考察の余地があると考えることが出来ます。
こういう作品、たぶん好きな人は好きなんでしょう。
ギャルゲーで世間的に高く評価されている作品の中にも、
そういった作品は幾つもありますからね。

ただ、私はギャルゲーも好きで一杯プレイしてきましたが、
そういうのはほとんど評価しない部類です。
設定部分はきちんと本編中で上手く説明しろよって思うし、
逆にクドイ心理描写はいらないのです。

まぁ、私の好みは横に置いておくとしても、
イベントらしき物が少ないために描写も薄っぺらく感じやすかったですし、
目的意識がハッキリしないままに進行しつつ、
そのくせわりとあっさり終わってしまいましたからね。
ライトニングの心理変化等途中まではわりと良かったのですが、
最後はちょっと物足りないなって人も結構いたのではないでしょうか。

加えて、ライトニングとかモロに好みな設定だったのですが、
終盤に行くほど空気みたいな存在感になっていきます。
ヴァニラやスノウの方がずっと目立ってましたしね。
その点でもちょっと物足りなかったです。

まぁ、でもRPGにありがちな無駄に馬鹿な大人や、
イラっとくるガキとかはいなかったので、
プレイ中は特に支障はなかったです(青臭いのは一杯いましたけど・・・)。
普通に楽しめはしたのですが、伏線が張り巡らされているとか壮大だとか、
或いは感動的な展開が待っているみたいなのはないんですよね。
最後まで終始淡々とした感じです。
そう、とにかく淡々としているんです。
これは欠点でもありませんが、かと言って決して長所にもなりえないでしょう。
これが大して時間を割いていないのなら構わないのですが、
長く時間を割きながらこの出来というのはちょっと残念だったかなと。

そういうわけで戦闘面やグラフィック面でポイントを大きく稼いだので、
十分に名作だとは思います。
しかし、時間を割いた比重の大きいストーリー部分が極普通だったので、
AA‐(傑作)にまでは至ってないのかなと。
一応点数的にはFFの中では13作品中(11除きで代わりに10-2)8番目、
大体真ん中らへんって感じですかね。
久しぶりに非アクション系の普通のRPGで楽しめたのも確かでしたが、
スクエニ(というかFF)ってハード末期にハードの限界を引き出すというより、
ハード初期に他社が対応していない時に、
いち早く対応する点に特徴があると思うのですよ。
FF7とかFF10なんかが良い例ですよね。
そういう前例があるがためにPS3最初の作品ってことで期待しすぎたので、
その期待の高さからすると少し物足りなくもありましたかね。

ランク:A(名作)

ファイナルファンタジーXIII

関連するタグ PS3 /RPG /


  面影レイルバック      ヤミと祝祭のサンクチュアリ   それでも妻を愛してる2
カテゴリ「2009」内の前後の記事





管理者にだけ表示を許可する

トラックバック http://advgamer.blog.fc2.com/tb.php/1470-cc415842
| ホームへ戻る |