かまいたちの夜

かまいたちの夜

『かまいたちの夜』は1994年にSFC用として、
チュンソフトから発売されました。

まぁ、何といってもノベルゲームの火付け役となったという点で、
その存在価値は高く評価されるんでしょうね。

かまいたちの夜 特別編

<はじめに>


ノベルとしての元祖はシステムサコムのシリーズが挙げられるだろうし、
チュンソフトとしても『弟切草』があります。
でも、単発やそのブランド内のシリーズとしては存在しても、
80年代にはノベルブームにはならなかったし、
『弟切草』の後だって続いていません。
他社が真似て似たような物を作り出し、
ノベルブームと呼べるものが来たのは、本作があってこそと言えるでしょう。
決してシステム的に新しいところはないのだけれど、
世間にノベルを浸透させたという意味において、
『かまいたちの夜』は最大の功労者と言えるのでしょう。

<感想>


さて、歴史的な位置付けはそこまでとして、
ここではシステムについて触れていきたいかと思います。

本作のシステムは、枝分かれして分岐していくタイプのノベルゲームです。
『弟切草』のようなランダム要素はなくなったため、
単純にシステム面では後退というか簡素化したとも言えるでしょう。
なので斬新な要素はなかったかもしれませんが、
これがかえってノベルの普及に繋がる要因になりえたとも考えられ、
ある意味皮肉な結果となりましたね。

コンピューターゲームならではの要素としてランダム性を導入というのは、
その意気込み自体は分かる気もするんですけどね。
個人的には自分の決断次第で展開が決まる方が好みでして。
そういう点からも、本作は好印象でしたね。

また斬新さはなくとも狭義のゲーム性とでも言いましょうか、
選択肢の作り方とかが非常に洗練されていました。
ここら辺は後続の他のノベルゲームとは格が違うというか、
さすがチュンソフトっていったところでしょうか。

よくノベルゲームのゲーム性に関する話も出てきますが、
プレイヤーが介入できる場面が多い(=選択肢の割合が多い)、
その介入できる場面で介入による結果が楽しめる
(=選んだ選択肢に応じて展開がきちんと変わる)、
適度にプレイヤーを悩ませつつも分岐ポイントが分かりにくくはない
(=プレイしやすくストレスが堪らないように配慮されているか)
といった基準によってゲーム性の高さは判断できるかと思います。

これは他の形式のADVで用いられているものをノベルに当てはめただけですが、
この基準で判断して本当に優れたノベルって、今はほとんどないですよね。

本作の場合は、近年のノベルゲームよりも、
ゲーム中に選択肢が出てくる割合は多いですよね。
単純にプレイヤーがやれることが多いのは良いことでしょう。

また、自分が選んだ選択によってダイレクトに次の展開が変わりました。
自分の行動次第で後の展開が変わるからこそ選択の際にも緊張感が生じるし、
他方で別の選択肢だとどうなるのかって楽しみも増えます。
これも選んだ選択肢の結果がその場で分からなかったり、
或いは選択に反して動く場合すらある近年のノベルゲームとは異なります。
近年のストーリー重視のノベルでは軽視されがちな要素ではありますが、
ノベルにおけるゲーム性の観点からはとても重要な要素と言えるでしょう。
本作はこの部分も優れていましたね。

さらに、本作ではまだ分岐図みたいなのはないのですが、
ピンクのしおりといった要素があり、
プレイヤーに常に目標を与えてだれさせずにプレイさせてくれました。
以上の点から、本作のノベルゲームとしてのゲーム性は高いと考えます。

ストーリー重視で感動させてくれる作品も好きだけれど、
たまにはこういう遊ばせてくれるノベルもプレイしたくなるんですよね。
そういう意味では、今でも貴重な存在なのかもしれませんね。

他方で、ストーリーは推理ものになります。
90年代以降めっきり減ってしまったゲームブックですが、
80年代までは書店の平台にも一杯ありました。
私もいろいろ買いましたしね。
ただその内容をみてみると、ジャンルは案外偏ってたかと思います。
一番多かったのは冒険やアクションものだったでしょうか。
ギャグ満載の作品やサスペンス調の物もありました。
しかし本格的なミステリーとなると、
意外とほとんどなかったように思われます。

そういうわけでしたから、
しっかりした推理物の内容を伴ったゲームブックってだけでも、
私には非常にありがたかったですね。
ありそうでなかったというか、プレイしていて思いましたもん。
これこれ、求めてたのはこれなんだよなって。
他方でゲームとして見てみても、
純粋な推理ものはこの頃のADVでは逆に新鮮だったかと思います。

本作は基本となる事件は1つで、
後はおまけシナリオが一杯用意されています。
ここの評価は好みによって分かれる気がしますね。
肯定派からすると推理物だったゲームが、
自分の選択次第でギャグやサスペンスとか様々に変わる、
そういうゲームの幅を楽しめる点が素晴らしく思えるのです。

逆に否定派からすると関係ないストーリーは要らないから、
もっと推理物のストーリーを用意して欲しかったってなりますしね。
私も今でこそいろんな展開に変わる多彩さを評価していますが、
当時は事件はこんだけかよ~って物足りなく感じたものです。

グラフィックやサウンドは、SFCとしては及第点以上でしょう。
ただいろんな機種でゲームをやってると、
どうしても物足りなさを感じざるを得ないかもしれません。

ただ一番の問題は、やはり何と言ってもコストパフォーマンスでしょう。
単行本が1500円以内で文庫本が500円以内でおさまった時代ですからね、
どうしても割高感は否めなかったです。
今のノベルのように綺麗なグラフィックや音声をつけて、
それで小説との違いを強調するってこともありませんでしたしね。

ノベルゲームの認知度を急激に高めたという点で、
良作であることは疑う余地もないでしょう。
ただ冷静に振り返ってみると、主観的には好きであるものの、
他人に対しても個々が違うのだよと説得できるような、
これといった強烈な個性と呼べる要素がないのも確かなんですよね。
なので当初は名作でも良いかと思いましたが、一応良作にとどめておきます。
実際、私の周りで『弟切草』が好きな人たちの中では、
本作を凡作だからやる必要ないって言う人が多かったです。
私のようにかまいたちの方が好きってのは当時は少数派で、
結構肩身が狭かったんですよ。
それを考えると、最近の巷の高評価は嬉しいようでもあり、
同時に不思議な感じもしてくるんですよね。

ランク:B-(良作)

かまいたちの夜 特別編 かまいたちの夜~アドバンス~

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