メッセンジャーフロムダークナイト

メッセンジャーフロムダークナイト

『メッセンジャーフロムダークナイト』は1995年にPC98用として、
TOPCATから発売されました。

出る時期が少し早すぎプレミアと化した、伝奇ノベルですね。

messe01.jpg

<感想>


少し前に雑誌についてきたので、大分入手しやすくなりましたね。
それまでは本当に幻の作品でしたから。
プレミアが付いていたという意味では、
同じTOPCATの『ZAP the magic』も該当するんですけどね。
『ZAP the magic』は店頭で見かけることが出来ただけでもマシでしょう。
こっちは価格云々以前に、そもそも見かけることすらなかったですし。

そういうわけでレア度がとかく注目されていた作品でしたが、
もう一つ肝心なことがあります。
それは、PC-98のアダルトゲーム初のノベルゲームだということ。

ノベルゲームとして有名なのはleafの作品ですが、あちらは96年の発売です。
こっちは95年なので、こっちが先なんですね。

またleafのノベルはストーリー重視な反面、ゲーム性は弱かったです。
他方で、こっちはエンディング数80以上という作品で、
ゲーム性ならこっちの方が断然上と言えました。

もっともこれは単純に並べて考えられるものでもなく、
構造というか理念的な違いもあるんですけどね。
leafのノベルはシナリオを楽しませようということで、
理念的には最古のノベルであるシステムサコムのノベルウェアに近いです。
物語を楽しませつつグラフィックやサウンドでも盛り上げる。
そういう点でも、ノベルウェアと同じ方向性ですね。
だからleafの作品の場合は、
端的に言えばノベルウェアのアダルトゲーム版と言えたでしょう。

一方の本作。
ノベル形式で物語を楽しませようとする点は同じですが、
そこに分岐による従来のADVとは異なった楽しみ方も付加しようとしました。
これは、チュンソフトのサウンドノベルと同じ発想ですよね。
なのでこちらは端的に言えば、
チュンソフトのサウンドノベルのアダルトゲーム版と言えたでしょう。

「かまいたちの夜」でファンの増えだしたノベルゲームですが、
アダルトゲームでその血を受け継いだ作品となると、
本作の方が相応しいかと思いますね。

アダルトゲーム初のノベルゲームとしての価値がある本作。
まぁ、そういう作品ですからね。
普段の私の傾向からすれば名作として紹介してそうなものですが、
それがそうとも言えないわけでして。

いや、十分面白かったし良作ではあったんですけどね、
ストーリー自体はそれ程でもなかったんですよ。
何だかんだでノベルにおけるストーリーの比重が高いことは、
もはや疑う余地がないことだと思います。
その中でストーリーが普通というのは、
やっぱりちょっと物足りなかったですね。

それと、エンディング数は80以上とありますが、
微妙な違いってのが多かったんです。
なので、数は多くても決して質が伴ってたとは思えなくって。

また、そもそもの前提自体と矛盾してきそうな話になりますけどね。
分かりやすく話すために、
ここまで本作をアダルトゲーム初のノベルゲームと言ってきました。
画面全体に文字が出てきて選択肢を選ぶという点では、
チュンソフトのサウンドノベル的な形でのノベルゲームという意味では、
確かにそうなのです。

しかし見た目の違いはあれ、
選択肢による分岐構造を採るゲームは既に一杯あったわけでして。
つまりは『河原崎家の一族』とかですね。
これらも実質的にはノベルゲームと言えますので、
定義次第というか私の区分では本作は元祖でもないんですよね。
更に言ってしまえば河原崎以前の80年代にも既にありますし、
ノベルと名付けられたゲームも本作以前にあるのですよ。
だから厳密に言うならば、リーフのビジュアルノベルはもちろんのこと、
本作もアダルトゲームにおけるノベルゲームの元祖ではないのです。
ノベルというとチュンソフト的な物を想像する人も多いから、
それと酷似した形としては、ビジュアルノベルより本作が先であり、
その観点からはアダルトゲームの中でも最初かもねってだけです。

しかし例えば、今の紙芝居と揶揄されるノベルゲームは、
画面の下3行にテキスト欄があり、読み進めつつも選択肢で分岐します。
それもノベルと多くの人は考えますよね。
そしてその形式は80年代から既にあったのだよということで、
ちょっとややこしいかもしれませんがそういうことです。

よって、私の評価としては良作止まりです。
でも、最後まで悩みましたからね。
限りなく名作に近い作品とは言えるでしょう。

と、私の感想はこんな感じですが、
人間や妖魔がごっちゃになって学園で生活している世界観は独特でした。
90年代の中ごろまではハイファンタジーの作品が多く、
こうした設定の作品は少なかったです。
今のラノベはローファンタジーが主流ですので、
そう考えると出た時代が早すぎたのかもしれませんね。
ノベルシステムといい、物語の設定といい、
少しばかり先端を行き過ぎてたんでしょう。
もう少し後だったならば、もっと人気が出てたのかなとも思います。

なので古い作品ではあるけれど、
逆に今の人の方が受け入れやすい面も大きいのかなと。
ラノベが好きで独特な世界観に興味を持てたなら、
今からやっても案外楽しめるのではないでしょうか。

ランク:B(良作)

メッセンジャーフロムダークナイト

関連するタグ PC98 /ADV /ノベル系 /


月影のシミュラクル   緋のない所に烟は立たない  いつまでも僕だけのママのままでいて
カテゴリ「1995」内の前後の記事





管理者にだけ表示を許可する

トラックバック http://advgamer.blog.fc2.com/tb.php/1357-e3b534b5
| ホームへ戻る |