GAOGAO! 3rd. ワイルドフォース

GAOGAO! 3rd. ワイルドフォース

『GAOGAO! 3rd. ワイルドフォース』は1994年にPC-98用として、
フォアナインから発売されました。

GAOGAOシリーズの3作目であり、
シリーズの名を一躍有名にした出世作でした。

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<概要>


ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

シリーズの大まかな関係や流れについては、
以前『カナン ~約束の地~』の紹介のときに既に書いていますので、
そちらを参照ください。

古い作品ですので、まずはあらすじから。
狼の変異体である主人公のウルフィは、
森の中でうさぎ族のラビィと出会い、
二人は共に洞窟の中に落ちてしまいます。
何とか洞窟を抜けると、そこには知らない世界が広がっていて、
「闇食い」と呼ばれる化物が暴れていたのでした。
そんな世界で主人公らは一体何が出来るのか、
そして無事に元の世界に帰還することは出来るのか。
・・・といった感じの、
異世界に紛れ込んだ勇者様の冒険譚といった作品でした。

<ストーリー・キャラ>


冒険譚の魅力って何でしょう?
って聞いたら、ゲーム好きなら幾つも出てくるかと思います。
この手の話はゲームではRPGに多いですし、
特に80年代・90年代にゲームをやってきた人の中には、
RPGを相当やり込んできた人も多いでしょうから。

RPGの名作をやっていれば、
冒険モノの魅力の多くに気付けるのは間違いないのでしょう。
新たな街に行き、新たなダンジョンに向かい、
新たなキャラと出会い、新たな敵と戦う・・・
常に新しいものが待ち受けているという未知のものへの期待感は、
RPGをプレイすれば幾らでも感じられます。

しかしながら、その一方で、冒険は仲間たちとの長い旅路なわけです。
長く一緒に行動をする仲間の存在は何よりも大事で、
仲間との関係・交流は冒険には欠かせない要素なのです。
昔、小説で「フォーチュンクエスト」を読んでいたのですが、
「詩人兼マッパー」なんて役職、効率の良いパーティ編成には不要です。
でも、あのパーティでパステル抜きの物語なんか考えられないわけで、
皆が一緒に頑張る姿勢があるから見ていて楽しいのです。

このパーティ間の関係や交流という側面は、
意外にもRPGでは軽視されてきた感があります。
まぁ、ある意味仕方ないのかもしれませんけどね。
そもそも初期のRPGというもの自体が、
TRPGの中でも特に戦闘・育成に特化して、
それをコンピューターゲーム化したジャンルだっただけに、
80年代のRPGでは物語性やキャラ性、内部の関係などは、
構造上必然的に希薄な存在となってしまうのでしょう。
したがって、パーティという概念は80年代の頃から既にありましたが、
そこでは専ら戦闘における役割分担という意味合いが強く、
人間的な意味での個性は希薄だったのです。

90年代に入りストーリーを重視した作品が出てきますが、
ストーリーという「縦軸」、或いは外的な要因が強まっただけであり、
キャラ間の関係という「横軸」、
或いは内的な要因の扱いはまだまだ弱かったと思います。

もちろん、内部的な関係も描いた作品はありますよ。
でも、RPGは構造上プレイの大半は戦闘や探索に割かれているわけです。
だから内部的な人間関係をしっかり描ききる作品が、
どうしても出てこなかったんですね。

他方でADVというジャンルは、こちらもTRPGを端緒としつつも、
TRPGのプレイヤー間のやり取りをゲーム化したような側面があります。
いわばTRPGを構成する要素の中で、
CRPGでは実現させにくかった要素に着目したジャンルがADVなのです。

国内のADVでは推理物やSF物が多かったですが、
仮に冒険物をやるならRPGにすれば良いのであって、
ADVにする必要はないんじゃないかって思う人もいるでしょう。
でも、パーティ間の内的な要素をしっかり描ききるには、
実はADVこそが向いているのではないかと私は思います。

そして『ワイルドフォース』は、まさにそれを描ききった作品なのです。
たくさんの魅力的なキャラが登場し仲間となっていく。
その彼らの交流・成長・関係性を冒険という長い旅路を通してみていく。
これがADVというテキスト主体のゲームでなされることで、
より一層各キャラの個性が際立ってくるのです。

『ワイルドフォース』は大まかなストーリーの流れだけを見てみると、
いかにも王道の冒険ものって感じです。
何度かここを訪れた方は、
私が王道ものが好きでないような表現を見かけたこともあるかと思います。
しかし、厳密には王道ものそのものが嫌いというのではないのです。
同じような設定・同じような内容なら、
その中で一番良いやつをプレイすれば、それで十分ってことなのですよ。
良い物をやっちゃえば、他の似たものから得られることは少ないですから、
だったらプレイする必要はないよなってことなんですね。
つまり逆から言えば、本当に良い王道ものは好きだし、
絶対にやらねばとも思うわけです。

そしてそんな私が、王道ものである本作はかなり楽しめました。
大きな流れ的には王道ものですが、
描き方が半端じゃなく良かったことが他との違いだったのでしょう。
ライターは三峰奈緒さん。
他の代表作では『夢幻夜想曲』があります。
本作を含め、GAOGAOシリーズは、
この人の文章があったから成り立ったようなもので、
読んでいて止め時がわからないくらい楽しいものでした。

これは本物だ、王道ものでもこれはプレイして良かったと、
心底思わせてくれる作品が『ワイルドフォース』だったのです。

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さて、ここまでは本作を単独に見た場合の魅力の観点から書きましたが、
『ワイルドフォース』はシリーズ物でもありますからね。
シリーズ全体を通してのテーマというものも出てきます。
そういう2重の意味で楽しめるというのも、
この作品の魅力と言えるのでしょう。

ですので、本来ならばシリーズの最初からプレイするのが1番です。
でも、残念なことに前2作は出来がイマイチだったんですね。
あれを最初からプレイしろというのは、ちょっと酷な気もします。
たぶん、私も再プレイは無理でしょう。

本作は前作から数百年後の舞台であり、直接的なつながりはありません。
いきなり本作からプレイしても、そんなに支障はないです。
したがって個人的には、本作からのプレイでも十分ありだとは思いますね。

因みに、設定上の関係もあって、
『ワイルドフォース』のキャラは獣人みたいなのばかりです。
(何せ、「ニンゲン」は幻の存在ですから・・・)
したがって、ネコ耳とかウサ耳とかそういう属性のある人には、
このシリーズは最高のシリーズにもなりうるかと思います。

<ゲームデザイン>


ストーリーやキャラ的にはアダルトゲームでも屈指の出来だし、
十分傑作(AA-)クラスの内容だと言えるでしょう。

その一方で、『ワイルドフォース』の、
というかシリーズ通じての話になるのですが、
ネックはゲーム部分にあるわけでして。
本作はごく普通のコマンド選択式のADVなのですが、
コマンド選択式ADVにだってシステム上の良し悪しはあります。
そして残念ながら、ここはあまり作り方が上手くなかったんですよね。
前作よりは快適に進行するようにはなりましたので、
前作よりはマイナス要素は減ったと言えるものの、
それでも単調な感じは否めなかったですね。

絵も音も話も全部良かっただけに、
どうしてもシステム部分が足を引っ張った印象が強くなるのです。

<感想・総合>


とはいえ、単独としてのストーリー+シリーズ全体のテーマの結論の、
両方がしっかりしていれば問答無用に傑作だったと思います。
本作は当初完結編として作られていましたし、
本作でテーマ的にも一応の決着はついています。
だから、ここで満足できた人なら、
本作を傑作と判断するのも納得できます。

ただ、私は若干の物足りなさを感じたんですね。
それを解消してくれたのが、
予定変更して続編として制作された『カナン』だったわけで。
そのためシリーズ全体を通した総まとめ的な評価は、
私は『カナン』に加えていて、それで『カナン』を傑作と判断しています。
つまり本作に関しては単独のストーリーとしての評価だけとなりますので、
その分だけ点数が伸びなかった面があります。

もっとも、当然感じ方は人それぞれです。
中には本作で満足できたと、
むしろ『カナン』は蛇足だろって感じる人もいるでしょう。
そう感じたならば、前述のように本作を傑作と判断することも、
十分にありうるのだと思います。

まぁ、どう感じられるかは人それぞれなのでしょうが、
他の2作と異なり『カナン』は本作と直接つながっていますからね。
本作と『カナン』はぜひ1セットで一緒にプレイしてもらいたいものです。
そうすることで、良質な物語を味わえた充実感を、
きっと感じることが出来るでしょうから。

ランク:A(名作)

GAOGAO!3RD ワイルドフォース

5インチソフトGAOGAO!3ワイルドフォース

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ラジカルシークエンスはシルバージーンとして移植されたけど、パンドラの森以降を出すには至らなかったようだなぁ。
前作の名残が随所に見られるのが魅力なのに一作品だけだと微妙。。
あと、フォアナインではナイトシフターが割といいできだったのを覚えている。
ねこまんまEXももっとどしどしコンテンツを作れていれば…
雨の日の蛇は速い…

カナンまで全ての作品が移植されることを望んでいたのですが、もう無理っぽいですね。
どうせ1作しか移植できないのだったらカナンにして欲しかったです。
あまり獣人属性がないこともあってねこまんまEXとかは未プレイですが、ナイトシフターやリリスなどフォアナインはGAOGAO以外にも面白いゲームがあったので、ここがなくなったのは痛かったですね。

キャンドルができたときは「これはもしかすると復活もあるかも。」と思ったけどダメだったか
しかし、いまだ知っている人(ファン)が結構いるようで…
マイナー作品と言われるの中でも幸せなタイトルではあったのかもしれないな…

やっぱり長く人の記憶に残る作品は、いろんな要素が含まれているように思います。
キャンドルは結局闇色の童話が最後だったのでしょうか。未プレイなので出来はわかりませんが、それがヒットしていればもう少し続いたのかな…
お布施と思って買っておけばよかったのかなと、今になって後悔してきますね。
ワイルドフォースも単体のストーリーはある意味王道で、でもそれがシリーズとしての大きな流れも含み、
また獣娘という属性なども含んでいましたからね。
今ちょうど「もんむす」で女モンスターブームっぽいのがきていますが、獣娘も古くから愛されてきた属性ですし、それでこのストーリーなわけですから、根強いファンも生まれるべくして生まれたのでしょう。
そしてそういうファンがい続けるのであれば、やっぱり作品としては幸せなのでしょうね。

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