ミステリート ~不可逆世界の探偵紳士~

ミステリート ~不可逆世界の探偵紳士~

『ミステリート~不可逆世界の探偵紳士~』は、
2004年にWIN用としてアーベルから発売されました。

このゲームは長く待たされましたね。
前作的な位置付けにある『不確定世界の探偵紳士』の発売が2000年。
それから名前ばかりで、全く発売される気配がなかったですから。

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もうお蔵入りなのかなとも思った矢先、
ハードを当初予定していたDCからPCに移して2004年に発売されました。

発売前に伝わってきていた情報からは、
本作はシステム重視の本格的な推理ADVなのかと思ってたんですよね。
しかしながら、システム関連は後に回しますが、
結果的に本作はストーリーやキャラを楽しむゲームでした。

シナリオは全体を通してみれば未完なのですが、
ゲーム自体は5話の短編から成り立っています。
1つ1つは完結していたし、どれもそれなりに面白かったです。
推理ADVが好きな人の多くが『クロス探偵物語』もやってると思いますが、
あれと同じような構造だと思えば良いでしょう。
『クロス探偵物語』も幾つかの短編があって、一つ一つは完結します。
しかし最後の黒幕の話が終わってなかったですからね。
『御神楽少女探偵団』もそうですが、
何故か近年の推理物にはこういう形式が多いですね。

そうですね、ストーリーの構造もそうですが、
キャラが一番の魅力と言う点でも『クロス探偵物語』と似ているかもしれません。
予想外にと言ったら失礼かもですが、
どのキャラも非常に個性的でテキストを読むだけでも楽しかったです。

テキストは基本的に私の肌に合うというのもありますが、
本作でも凄く良かったです。
特にラストのあたりは秀逸でした。
あのラストの部分があるかないかで、
確実に評価が1ランクかわってくるでしょうし。

結局、その部分なんですよね。
つまらないゲームが未完で終わっても、その続編なんて誰も期待しないでしょう。
本作もシステム面も含めて、途中までなら普通の良作程度だとも思います。
この秀逸なラストで次に引っ張る展開をされてしまったから、
だからいつまでも記憶に残るし続編に期待したくもなるんですよね。
そういうわけで、出来るだけ早く続編がプレイしたいのですよ。
まぁ今となってはそれむ無理なのでしょうけれども・・・

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さて、本作は大雑把なジャンルではADVになります。
上述のように、当初はシステム重視の推理ADVだとばかり思っていました。
おそらくいろいろと構想はあったと思うのですが、制作が難航したみたいで、
結局はかなり簡略化された形での発売となってしまいました。

1番の目玉として当初挙げられていたのが、
いわゆる「ディテクティブチャージシステム」です。
ひとつの事件をさまざまな方法で解決できるという画期的な推理システムで、
現場に残された遺留品から犯人を推理しても良いし、
先に容疑者を特定してその人物のアリバイを探る方法で捜査を進めることも
可能とのことでした・・・企画通りならばですが。

これには、凄く期待していたんですよ、
おそらく推理ゲームファンの誰もが望んでいる要素でしたからね。
しかし直前になって大幅に変更されてしまい、
結局は得られた証言や証拠によって事件の核心に近づくと、
ポイントがアップしていくというシステムに変わりました。
実際プレイしての感触は、進行度をメーターで表すだけでしかないなと。
当初の企画通りならばとんでもない大傑作にもなりえたでしょうが、
企画から残ったのは名前だけで完全に別物になっていましたね。

私以外にもこのシステムに期待していた人は結構いたと思うのですが、
諦めきれない人にはPS2の『ガーディアンエンジェル』をオススメします。
ミステリートがやりたかったであろうことの幾つかを、
『ガーディアンエンジェル』は成し遂げていますから。
知名度こそ異常に低いですが、
ゲームデザインに関心のある人はぜひやってみるべきでしょう。

閑話休題。
本作は他にも「MAPモード」や、
「プルーフターゲットシステム」があります。
「MAPモード」は普通にMAPを徘徊するシステムです。
これは当初のディテクティブ~が機能していればこそ必要な要素でした。
前述のようにディテクティブ~が機能していない以上、
これも削除か簡略化すべきでしたね。
2つは1セットで意味をなすのだから、片方がなくなったら邪魔でしかありません。
こうしたあたりからも、制作の難航具合が伺えますね。

もう1つの「プルーフターゲットシステム」。
これは、ポイント&クリック式のADVを簡略化したものです。
本来のP&C式のような歯応えはまるでありませんが、
マウスホイールでホットポイントを選べるので、
出来の悪いP&Cにありがちな、
クリック場所が分からなくてイライラするという難点は回避できました。
個人的には物足りない気もしますが、
アダルトゲームをやる人の多くは難しいのを嫌いますので、
それを考えればこのような簡略化は調度良いのかもしれませんね。

また、ディテクティブ~を形骸化した分の埋め合わせですかね、
その分暗号を解く要素が幾つか含まれていました。
そのため本作に対して暗号解きゲームのイメージが強いって人も、
結構いるのではないでしょうか。

そうですね~、ここまで結構辛口にもなりましたが、
それは過去のADVの傑作との比較した場合の話ですからね。
私の場合は海外のADVも含めていろいろやっているので、
どうしても比較対照が多くなってしまいます。
でも大半の人は私が念頭に置いているものをプレイしていないでしょうから、
また違った印象にもなりうるでしょう。
それに2000年以降ノベル系ばかり3桁もプレイしていて飽きてきた頃なので、
普通のノベル系よりは十分楽しめました。
久しぶりにゲームって感じのADVでしたからね。
それらも加味しますと、システム部分は大きなプラスにはならないものの、
だからと言って決してマイナスにもならないです。
ゲームシステムとしては及第点と考えた上で、
そこにテキストやキャラが良かったことのプラス分が加わりますので、
総合では一応、名作の範疇に含めて良いかと思います。
期待が大きすぎたために拍子抜けした面もありますが、
冷静に見つめ直すととても面白いゲームでしたね。

ランク:A-(名作)

ミステリート


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