ソフトでハードな物語

ソフトでハードな物語

『ソフトでハードな物語』は1988年にX68000等で、
システムサコムから発売されました。

システムサコムお得意のノベルウェアの、確か3作目だったでしょうか。
『ドーム』と『シャティー』の次であってるはずだと思いますが・・・

softdehard1.jpg

<ストーリー>


物語は主人公の父親が倒れたという、一本の電話から始まります。
突然主人公は中堅ソフト会社の社長となり、
会社の倒産の危機と戦いながら、ソフトの開発を行うことになります。

本作はゲーム業界を舞台とした、業界ものになります。
SFやミステリーやファンタジーが大半だった当時のADV市場においては、
設定の時点から異彩を放っていましたし、
ゲーム業界って、こんな感じなのか~と、
とても新鮮な気持ちで楽しめたものです。

<ゲームデザイン>


ジャンルはノベル系のADVになります。
公式には、ノベルウェアとなっていますね。

ノベルゲーの一番の肝を何と捉えるかでも見解が変わりうるのでしょうが、
ノベルウェアと言っても変遷しておりまして。
『ドーム』はノベルウェアの第一弾になりますし、
ノベルゲーの一番の肝を小説のように物語を楽しむことだと考えるのなら、
読むことを中心に据えた『ドーム』は、紛れもなくノベルゲーなのでしょう。

ただ、『ドーム』では一部でコマンド選択式にあるような、
コマンドも登場するんですよね。
だからノベルゲーの肝がコマンド選択からの解放だと考えるのなら、
実は『ドーム』は不十分となります。
この観点からは、実はアダルトゲームの方が進んでいまして、
艶談シリーズとか一部のアダルトゲームでは、
既にコマンド選択式から完全に脱却した作品が存在していたのです。
まぁ世代的なものもあるのか、アダルトゲームにおけるノベルゲーにつき、
96年のビジュアルノベルをルーツに語りたがる人もいるのだけれど、
その10年近く前からアダルトゲームではノベルゲーがあるんですよね。
該当記事で何度も書いているので、これ以上は省略しますけれど。

他方で、ゲームブックのように分岐する構造を肝と考える人は、
今はほとんどいないと思いますが、昔はそれなりにいたと思います。
そういう観点ですと、88年の『キングオブシカゴ』なんかが、
文句なしに該当するのでしょう。

かように、ノベルゲーといえども様々なアプローチがありますが、
本作はノベルゲーの3作目ですから、まずは小説のようにテキストを読ませ、
物語を楽しむことが主目的になります。
それでいて、選択肢による進行が『ドーム』よりも徹底されていて、
コマンド選択式からの脱却の観点でも進化していると言えるのでしょう。
だから『ドーム』では不十分だと考える人であっても、
本作くらいなら文句はないのかなと思います。

また、本作における特徴としては、時間の存在も挙げられるでしょうか。
何か選択すれば時間が経過するという、初期的なタイプではあるのですけどね。
ノベルゲーとの組み合わせは、珍しいかもしれませんね。

<グラフィック・サウンド>


softdehard.jpg

グラフィックは、一部カラーで一部白黒です。
初期のノベルウェアは、グラフィックが主ではなく、
読ませることが主目的なのだということを周知徹底させたかったのか、
白黒のシンプルな画像も多かったです。

マルチウインドウの構造を採っており、画像やテキスト欄が可変・可動式で、
場面に応じて様々なところに表示されました。
WIN95登場時など、時々増える表示方法ですが、最近では少ないタイプですかね。
最近のノベルゲーは下3行のテキスト欄に、
実質2行ほどしか表示されなかったりするのも多いです。
しかし読ませる作品は画面にテキスト量が多い方が良いと思いますし、
かと言って画像の上全体をテキストで覆うのは、馬鹿の一つ覚えみたいだし、
何よりグラフィックも見にくいから疑問に思ってしまいます。
本作のように、テキストの表示量を増やしつつも、
グラフィックの構成に合わせてテキスト欄を最適な形に変えるのが、
個人的には一番だと思うのですけどね。

また、私個人はサウンドに特にこだわりはないのですが、
本作はサウンドも高い評価を得ており、一般的には、
サウンドの点も長所と言えるのでしょう。

<感想・総合>


それにしても・・・
『ソフトでハードな物語』とはよく付けたものですね。
このネーミングセンスが、私はたまらなく好きです。

確かに、タイトルでゲームの出来が決まるわけはないでしょう。
本作には物語の独自性や、ゲームの構造やサウンドなど、
多くの長所となりえるポイントがあるのであり、
だからこそ評価されたのでしょうから。
ただ、タイトルが秀逸だと店頭でも目に入りやすいですし、
逆にプレイ後も、何年経っても忘れなかったりしますからね。
作品そのものとは関係ない話かもしれませんが、
ユーザーの記憶に残りたいのであれば、こういう部分も重要だよなと、
そんな風にも思った作品でした。

ランク:A-(名作)



関連するタグ ADV /ノベル系 /


月影のシミュラクル   緋のない所に烟は立たない  いつまでも僕だけのママのままでいて
カテゴリ「1988」内の前後の記事





管理者にだけ表示を許可する

トラックバック http://advgamer.blog.fc2.com/tb.php/1239-31e218d1
| ホームへ戻る |