蒼色輪廻

蒼色輪廻

『蒼色輪廻』は2004年にWIN用として、
美遊から発売されました。

ADMS+NTR+卑屈な主人公。
個性が際立ったかなりの異端作で面白かったですね。

20100319092203b68.jpg

私のもっとも好きなゲームである『YU-NO』。
そのシステムはポイント&クリック式(P&C)式ADVに、
ADMS(アダムス)という新システムが搭載され、
それがストーリーと有機的に結びついたからこそ高く評価したのです。
どれかが欠けてても、間違いなく評価は下がっていたでしょう。
よくADMSだけが注目されがちですが、
それは面白さを構成するほんの1部分でしかないんですよね。

この『YU-NO』と全く同じシステムのゲームは存在しませんが、
部分的に重なるゲームなら幾つもあります。
例えばP&C式ADVとしての要素なら、海外のADVの多くに見ることが出来ます。

もっとも、もう一方のADMSのようなシステム、
ましてやそれがストーリーと結びついているとなると、
途端にその数は激減します。すぐに浮かんでくるのは、
『プリズマティカリゼーション』や『ガーディアンエンジェル』、
あとは『ロストカラーズ』等の自転車創業のADVたちあたりでしょうか。

ADMSは大変魅力的なシステムでした。
なので、P&CとかはいらないからせめてADMSだけでも構わないから、
またそういうのをやりたいって人も多かったでしょう。
そういう人には、上記の作品はオススメと言えます。

ただ、今挙げた作品はどれも一般向け作品なんですよね。
中にはアダルトゲームでやりたいんじゃ~ってな人もいるでしょう。
そうなってくると、ADMSっぽい要素のあるアダルトゲームとなると、
更に選択肢は限られてくるわけでして。
おそらくまともにゲームとして楽しめる作品となると、
ゼロ年代前半までの範囲の中では、
この『蒼色輪廻』くらいしかないんじゃないかなって思います。
ですので、もう一度ADMSで味わった面白さを経験したいって人には、
この作品は間違いなくオススメだと思いますね。

ただ、ここで注意してもらいたいことが1点あります。
前述のように『YU-NO』はP&C式ADVをベースとしつつ、
そこにADMSを付加した作品でした。
他方で、本作のベースはノベル式のADVで、
これにADMSのようなシステムを採用しているのです。
似たシステムは採用していますが、ベースとなる基本システムは異なるのです。
なので、『YU-NO』っぽいという話だけを聞いて、
それで『YU-NO』と同じ物を期待すると肩透かしにあうでしょう。
個人的にもP&C式でない点で若干物足りなかったというのが、
率直な感想でしょうか。

もっともシステムには人それぞれ当然得手不得手があるわけで、
近年のノベルしか知らない世代はP&C式に抵抗のある人もいます。
いや、P&C式とコマンド選択式の区別も出来ない人もいるくらいなので、
P&C式自体を知らない人も増えてるんでしょうね。
知らないから楽しみ方も分かっていないと。
そして今のアダルトゲームのプレイヤーは、
ノベルゲームを好む層が主流派と言えるでしょう。
そういう人たちにとっては、
むしろ本作のシステムの方が馴染みやすいと思います。
幾ら凄くても向いてないシステムってありますからね。
私なんか客観的には凄いんだろうなって思いつつも、
FPSの類はサッパリ楽しめませんし。
なので、ノベル好きが手軽にADMSの魅力を感じたいというならば、
むしろこの作品こそが最適なゲームと言えるかもしれません。
そういう意味でも、本作は非常にオススメの1本と言えるかと思いますね。

次にシナリオの方を見てみますと、
内容的には現代と異世界を行き来するファンタジー物でもありますが、
端的に寝取られ物(NTR)と言った方が早いかもしれません。
後述する主人公のヘタレっぷりを楽しみながら、寝取られを存分に堪能する。
それが、本作の楽しみ方というものでしょう。
属性のない人には少しきついかもしれませんが、
NTR属性のある人には嬉しいシーンが幾つも用意されていると思います。
ADMSが好きでNTR属性もある私なんかは、
これは自分のために用意されたゲームじゃんよって大喜びでしたけどね。
『YU-NO』でNTRに目覚めた人も結構いると思うので、
私みたいな人も少なからずいたのではないでしょうか。

さて、ここまででも十分個性的なゲームですが、
それを更に際立たせているのが主人公の徹底した卑屈さです。
この当時は情けない主人公の出てくる作品が多くなってきていたのですが、
正直私は基本的にそういうのは好きではないです。
まぁヘタレそのものが嫌なのではなく、
成長物語にするためのテンプレなヘタレが嫌なのでしょうけれど。
だから本作のような完全にネタ化してるくらいの駄目さ・ひねくれ具合だと、
この作品ならではの要素として上手く昇華していると思いますし、
かえって清々しく感じて笑えてくるのですよ。
馬鹿だけどにくめないんですよね。
ヘタレ主人公が出てくるゲームで、
不快になるどころか最後まで楽しめるゲーム。
そんなのって、私の中ではかなり例外的な部類に属すると思います。
このゲームの評判を調べれば絶対にヘタレ主人公の話題は出てきますし、
そういうのが苦手で躊躇してるって人もいるかとは思いますが、
そんな人でもこの作品に限っては大丈夫だと思いますね。

ゲーム自体はメインのストーリーがそれ程優れているものでもない点、
及びシステムもADMSの2番煎じの域を出ていない点から、
諸手を挙げて傑作とは言い切れないでしょう。
ただ、ADMSという遊べるシステム+NTR+主人公の個性と、
随所に尖った所がありますので、十分に名作だと言えるでしょうね。
部分的には尖りすぎているので人を選ぶかもしれませんが、
その分はまる人ははまるかと思います。
むしろ私の評価は低いぐらいだとさえ思っていますし。

最後に、実はライターである蓮海さんのブログが、
何気に面白かったりするわけでして。
あれだけのテキストを書けるライターは只者ではないなと思っていたら、
ブログはそれに輪をかけてぶっ飛んでましたからね。
あのノリで何かゲームを作ってもらいたいですね~
せっかくの才能を本作だけで終わらせるのは勿体無いです。
ストーリーというか、根幹となる企画さえしっかりしていれば、
一気に大化けする可能性は十分にあると思いますし。
いつかまたゲームが出ることを願いたいものですね。

ランク:A(名作)

蒼色輪廻

関連するタグ WIN /ADV /ノベル系 /


月影のシミュラクル   緋のない所に烟は立たない  いつまでも僕だけのママのままでいて
カテゴリ「2004」内の前後の記事





管理者にだけ表示を許可する

トラックバック http://advgamer.blog.fc2.com/tb.php/1097-542e51e0
| ホームへ戻る |