艶談源平争乱記いろはにほへと

艶談源平争乱記いろはにほへと

『艶談 源平争乱記 いろはにほへと』は1988年にPC-88用として、
全流通から発売されました。

艶談シリーズの1作目。
歴史モノのノベルゲームということで、今では逆に珍しい類の作品になりますね。

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<概要>


艶談シリーズは「歴史絵巻アダルトアドベンチャー」と呼ばれ、
全部で3作あります。
本作は、その1作目となる作品でした。

現代で生活する主人公の「武士」は、偶然タイムマシンを作動させてしまい、
過去の日本にタイムスリップしてしまいます。
因みに本作では、1169年の京都に飛ばされてしまい、
源平の戦いが主な題材となります。

ジャンルは後述するように、ノベル系のADVになります。

<ゲームデザイン>


ノベル形式のゲームの歴史については、これまでにも何度か触れてきました。
世間一般にはノベルゲームの元祖として92年の『弟切草』が有名ですが、
それはあくまでも「家庭用ゲーム機のゲーム」に限った話であって、
PCゲームを含めればもっと前からあったのです。

ノベルゲームと言っても大きく方向性は2つあり、
1つは絵や音によりストーリーを盛り上げながら、
テキストを読んでストーリーを楽しむのが主目的のタイプです。
最近ではこの部分に特化し、ゲーム性をほとんど廃したかのような作品もあり、
例えば『ひぐらしのなく頃に』なんかが分かりやすいかと思います。
これがゲームと言えるかについては、また意見が分かれうるのでしょうが、
とりあえずノベルゲーという1ジャンルに含まれると考えたとして、
そういった読ませることを主とすることを明言した元祖としては、
システムサコムのノベルウェアと呼ばれた作品たちがあります。
その第1作目である『ドーム』は88年でした。

2つ目としては、『弟切草』のように、
ゲームブックに絵と音が付いたようなタイプがあります。
小説に音と絵が付いたような『ひぐらし』と、
ゲームブックに音と絵が付いたような『弟切草』とでは構造が違います。
つまり前者はストーリーを楽しむものであるのに対し、
後者は分岐の過程や自分の選択で展開が変わることを楽しむものであり、
どちらもノベルゲーと言われるけれど、両者は楽しみ方が異なるのです。
個人的には、分けて考えた方が親切のように思うのですけどね。

さて、両者を分けて考えるとするならば、
分岐の過程を楽しむゲームブックタイプのノベルも、
ノベルウェア系とは別個の価値が出てくるかと思います。
じゃあ、そういう意味で『弟切草』は元祖なのかと言うと、
それもまた違うのです。

そもそも分岐要素というのが、
言い換えればマルチストーリー・マルチエンディングなのであり、
従来のADVにも少しは見かけられた要素なんですよね。
ADVとノベルの区分けは難しい場合もありますし、
分岐系ノベルは分岐を主目的としている点で違うと定義しても、
その主目的の判断で意見が分かれる場合があります。
だから何が元祖かって聞かれると難しい面もあるのですが、
少なくとも88年に発売された『ザ・キング・オブ・シカゴ』は、
完全に分岐を楽しむノベルゲーでした。
まぁ私見としては86年頃から既にノベルゲーがあるとなりますが、
分岐の量が少ないと認めないという人もいるでしょう。
そんな人でも『ザ・キング・オブ・シカゴ』なら納得せざるをえないでしょう。
何せ分岐の数という面でも、『ザ・キング・オブ・シカゴ』を超える作品は、
今でも数本あるかどうかって感じですから。
そして同年に発売された本作もまた、
『ザ・キング・オブ・シカゴ』や『弟切草』と、
同じ系統のシステムだと言えるのでしょう。

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本作は画面が上部に文章が下部にというグラフィックADVの形式ですが、
コマンド入力でもなければコマンド選択でもありません。
場面に応じて4択が表示され、
その中から1つを選ぶことで展開が変わるのです。
つまり今の主流のノベルゲーと構造が同じなわけですね。
本作が元祖ではないにしても、
遅くとも88年には分岐を主目的とした、ノベル系のADVは存在したのです。

本作の位置付けとしては、広い意味でのノベルゲーは他にあるので、
必ずしもADV全般において斬新というわけではないのでしょう。
しかしアダルトゲームにおいて、
攻略に悩まされる程にゲーム性の増したノベルゲーとしては、
おそらく本作が初なのであり、人によっては、
そこに一定の価値を見いだせるといったところでしょうか。

<ストーリー>


基本的には史実に沿った展開がなされるのですが、 その中で主人公は、
頼朝ではなく義経を天下人にすることが出来るかが、 本作の目的となります。
本作はストーリーの本筋を追うというより、
様々に変わる展開を楽しむゲームなので、
特に感動するとかそういうのはありませんが、
これはこれで結構楽しかったです。
また歴史改変ノベルは今でも数が少ないですが、
当時はほとんど見かけないようなジャンルでしたからね。
その意味で新鮮さも有していました。

<感想・総合>


ただ、アダルトゲームと言いつつ絵はヘタレてるし、
ロード時間とかも遅いんですよ。
ちんたらしたテンポを我慢してでも先に進める魅力が、
本作のキャラにはなかったわけでして。
そこら辺は痛かったですね。

『ザ・キング・オブ・シカゴ』や他の88年製のノベルゲーとの、
発売日の詳細な前後関係が分っていないので、
本作の価値も場合によっては上昇するかもしれないですけどね。
また一般PCゲーを除いて考える人なら、確実に上昇するでしょうし。
だから人によっては本作を名作と判断することもありえるし、
それだけの面白さもあるのですが、
同じ年にすぐに続編の『ごらくいん』が発売されていて、
そっちの出来が良いのです。
88年を代表する名作として残すならば、
『ごらくいん』だけで十分だろって気がするんですよね。
そういうわけで、最終的にはB(良作)止まりにしておきたいと思います。

私は正直なところ、昔はノベルに偏見を持っていて、
古いノベルゲーの大半は再評価で大幅に上昇させています。
どうも昔のユーザーの多くも、
ノベルゲーに価値を見いだせていなかったようで、
それで注目度が低くなっているのですけどね。
小説のようなノベル、ゲームブックのようなノベル、
アダルトな方面でのノベルなど各方面で登場し、改めて歴史を振り返ってみると、
88年はノベルゲーが一気に進化し確立した年だったんだなと思いますね。

ランク:B-(良作)

PC-8801SRソフトいろはにほへと 艶談・源平争乱記

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