『天使たちの午後 番外編』

『天使たちの午後 番外編』

『天使たちの午後 番外編』は1985年にPC88用として、
ジャストから発売されました。

美少女ソフト界においては、忘れることのできない作品である、
天午後初代の番外編になります。



<感想>


ここを何度も訪れている人であれば、
『天使たちの午後』が何であるかを今更説明する必要はないでしょう。
もし知らない人がいれば、
まずは『天使たちの午後』の記事を読んで下さい。

まぁ、何かと誤解も多い作品ですし、
せっかくなんでね、少しだけ説明しておきます。
もう今更良いよって人は、次の段落は読み飛ばして大丈夫です。

『天使たちの午後』というのは、
現在では美少女ゲームの元祖として名が挙がることの多い作品です。
そういう意味では、非常に重要な作品でもあります。
ただね、美少女ソフトとして、
可愛い美少女が出てきた最初の作品ということであって、
アダルトゲーム自体はもっと前から何本も出ているので、
決してアダルトゲームの元祖ではないのです。
また、ヒロインが女子高生で、一応学園を舞台にしているので、
今日の学園恋愛ものの元祖に位置付ける人もいるのですが、
この作品は、全然学園恋愛ものという内容の作品ではありません。
むしろ学園を舞台にした陵辱系の方に近いのです。
したがって、何かと誤解と誤情報が蔓延している作品でもありますが、
それでも重要な作品であることに違いはないのでしょう。

それから、この天午後シリーズ、後の作品を見てみると、
個人的な印象としては、ナンバリングタイトルよりも、
番外編の方が出来が良いです。
シリーズ全体を通してオススメな作品は何かと聞かれれば、
私は、「2 番外編」と「3 番外編」を挙げますしね。
私以外の人でも、そういう人は結構いると思います。
これらは、番外編とはなっているものの、
完全なオリジナルストーリーでしたし、
出来もナンバリングタイトルより良かったです。

さて、それを受けての本作なのですが、
本作自体に限っていうならば、本作は文字通りの番外編でして。
初代本編で使えなかったCGを使った作品だったのです。

遊ぶ分には、テキストの付いたCGを見るだけなので、
これ以上にないくらいにシンプルです。
ややこしいのは、分類をするときにどう扱うかってことです。
これ、端的に言うならば、テキスト付のCG集なのです。
だから本作がゲームなのかと聞かれると、
正直なところ悩んでしまいます。
美少女ソフトであることは間違いないのだけれど、
美少女ゲームと言えるのかなぁ。。
まぁそれを言い出したら、今日のエロゲも、
ゲームと言えるのかとなってしまうものが多いので、
難しいところでもありますけどね。
仮に本作がゲームにあたるとするならば、
そして今日の分類に当てはめるのならば、
本作はノベルゲームとなるのでしょう。
初代本編はコマンド入力式でしたが、
本作にはそんなコマンド入力とかなかったですし、
もちろんコマンド選択でもありませんしね。
クリックで次の画面を見ていくだけですから、
どうしてもノベルゲーとなってしまうのでしょう。
まぁ、紙芝居かと聞かれたら、
これは間違いなく紙芝居だと答えられそうですけどねw

<総合>


常々、エロゲにおけるノベルゲーは、
家庭用ゲーム機から波及したのではない、
ノベルゲーはそもそもエロゲ固有の文化であると述べています。
だって、92年の弟切草が登場する何年も前から、
エロゲではノベルゲーが幾つもあるわけですからね。
その起源をどこに求めるのかは、論者により変わりうるのでしょうし、
私自身も本作の時点でノベルゲーが確立と言う気にはなれませんが、
上記の様な内容の作品であるだけに、
本作に起源を求めることも可能ではあると思うのです。
そうなると美少女ゲームの元祖と呼ばれる作品の派生版が、
既にノベルゲーないし紙芝居であったということは、
ある意味象徴的な事といえるのかもしれませんね。



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昔のエロゲはCG集ばかりと言う人がよくいますが、あれって紙芝居、すなわちノベルゲームのことなんですね
そしたらある意味今のエロゲもCG集ばかりですね

単純なCG集も結構あったんですよね。
本当にただCGだけしかないっていうものや、CGにBGMがついただけっていうものとか。
それらは、ノベルゲームとは異なると思います。テキストないですしね。
本作がややこしいのは、実質的にはCG集なのだけれど、各CGにちょっとしたテキストもあるので、定義次第ではノベルゲーになりうるのではないかということです。
私は、本作がアダルトゲームにおけるノベルゲーの元祖とは考えていませんが、元祖と考える人がいてもおかしくないし、少なくとも議論の対象となる作品であることは間違いないのでしょう。

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